子宮鏡検査でわかること|内膜ポリープ・慢性子宮内膜炎

子宮鏡検査でわかること|内膜ポリープ・慢性子宮内膜炎

検査で卵管も排卵も精液所見も問題ないのに妊娠しない。あるいは良好な胚を移植しても着床しない。そうしたとき、着目されるのが子宮の内側の環境です。

子宮鏡検査は、子宮腔をカメラで直接観察する検査です。この記事では、何がわかるのか、どんな人に勧められるのかを解説します。

子宮鏡検査とは

細い内視鏡を子宮の入口から挿入し、子宮腔の内側を直接観察する検査です。

子宮卵管造影検査(HSG)でも子宮腔の形はわかりますが、それは造影剤の影を見ているにすぎません。子宮鏡では、内膜の色調、血管の状態、小さな隆起まで直接見ることができます。

検査は月経終了後から排卵前に行い、所要時間は5〜10分程度です。多くは外来で、麻酔なしまたは局所麻酔で実施できます。

子宮鏡でわかること

①子宮内膜ポリープ

子宮内膜から突出した良性の隆起です。着床を物理的に妨げたり、局所の炎症を起こしたりして、妊娠率を下げることが知られています。

小さなポリープはHSGや超音波では見逃されることがあり、子宮鏡でこそ確実に発見できます。切除により妊娠率が改善することが報告されています。

②粘膜下筋腫

子宮の内腔側に突出した筋腫です。着床を妨げるため、不妊治療では切除が検討されます。筋腫のなかでももっとも不妊への影響が大きいタイプです。

③慢性子宮内膜炎

近年とくに注目されている病態です。自覚症状はほとんどありませんが、子宮内膜に慢性的な炎症が続いている状態です。

子宮鏡では次の所見がみられます。

  • 内膜の発赤
  • マイクロポリープ(微小な隆起)
  • 間質の浮腫

確定診断には内膜組織を採取してCD138染色を行い、形質細胞の有無を調べます。抗菌薬による治療で改善し、着床率が向上する可能性が報告されています。

反復着床不全の方の一定割合に慢性子宮内膜炎があるとされ、原因検索の重要な一項目となっています。

④子宮腔癒着(アッシャーマン症候群)

流産手術や子宮内容除去術のあとに、子宮腔内が癒着してしまった状態です。月経量の減少が手がかりになります。子宮鏡下に癒着を剥離します。

⑤子宮奇形

中隔子宮、双角子宮などの形態異常を評価できます。中隔子宮は流産との関連が指摘され、子宮鏡下中隔切除術の対象となることがあります。

⑥卵管の入口(卵管口)の状態

左右の卵管口が確認できるかどうかも観察します。

検査は痛いのか

痛みには個人差がありますが、HSGよりは軽いと感じる方が多いようです。

痛みを軽減する工夫として次のものがあります。

  • 細径の子宮鏡(外径3mm前後)を使用する
  • 生理食塩水で子宮腔を広げる(炭酸ガスより痛みが少ないとされます)
  • 事前に鎮痛薬を服用する
  • 静脈麻酔を使用する(施設による)

不安が強い場合は、事前に相談してください。

誰が受けるべきか

必須の検査ではありませんが、次の場合には有用性が高いといえます。

  • 体外受精を始める前(子宮腔の状態を確認しておく)
  • 反復着床不全(良好胚を複数回移植しても妊娠しない)
  • 反復流産・不育症
  • 超音波でポリープや筋腫が疑われる
  • HSGで子宮腔に異常が指摘された
  • 月経量が急に減った(子宮腔癒着の可能性)
  • 過去に流産手術を受けている

とくに体外受精の前に一度受けておくことを勧める施設は増えています。せっかくの良好胚を、防げたはずの要因で失わないためです。

見つかった場合の治療

多くは子宮鏡下手術で対応できます。

  • ポリープ切除:日帰りまたは1泊入院。妊娠率の改善が期待できます
  • 粘膜下筋腫切除:大きさによっては入院手術
  • 癒着剥離:再癒着予防の処置を併用します
  • 慢性子宮内膜炎:抗菌薬の内服(手術は不要)

手術後は、子宮内膜が回復するまで1〜2周期あけてから治療を再開するのが一般的です。

費用

  • 子宮鏡検査:保険適用で3,000〜1万円程度(3割負担)
  • 子宮鏡下手術:術式と入院の有無により変動します
  • 慢性子宮内膜炎の診断に用いるCD138染色は自費となることがあります

よくある質問

Q. 超音波で異常がなければ受けなくてよいですか?
A. 小さなポリープや慢性子宮内膜炎は、超音波では捉えられないことがあります。体外受精を予定している場合は、受けておく価値があります。

Q. 検査後すぐに妊娠を目指せますか?
A. 検査のみであれば、その周期から治療を再開できることが多いです。手術を行った場合は1〜2周期あけます。

Q. ポリープは放置するとどうなりますか?
A. 良性であれば命に関わるものではありませんが、着床を妨げる可能性があります。妊娠を目指す場合は切除が基本です。

まとめ

  • 子宮鏡は子宮腔を直接観察し、ポリープ・粘膜下筋腫・慢性子宮内膜炎などを発見できます
  • HSGや超音波では見逃される所見が見つかることがあります
  • 体外受精の前、反復着床不全、反復流産では有用性が高い検査です
  • 多くは子宮鏡下手術で治療でき、妊娠率の改善が期待できます

移植の前に、受け入れ側の環境を整えておくという発想が大切です。

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本記事は、不妊治療について一般的な情報をお伝えすることを目的として作成しています。記載している検査・治療の内容や数値は、あくまで一般的な目安です。適応や治療方針は一人ひとりの状態によって異なり、医療機関ごとに方針が異なる場合もあります。実際の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。

また、法制度や公的支援の内容は改定されることがあります。手続きの際は、必ず厚生労働省・お住まいの自治体・各医療機関の最新の公表情報をご確認ください。

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