不妊検査のなかで、少し気まずさを感じるのがフーナーテストかもしれません。「指定された日に性交してから来院してください」と言われて戸惑う方も多いでしょう。
しかしこの検査は、体内で精子が実際に機能しているかを確認できる、数少ない検査です。この記事では、その意味と結果の読み方を解説します。
フーナーテストとは
フーナーテスト(性交後試験、ヒューナーテスト)は、排卵直前に性交したあと、頸管粘液のなかにどれだけの精子が生存しているかを調べる検査です。
精液検査は「精液のなかの精子の状態」を見ますが、フーナーテストは**「女性の体内に入ったあとの精子の状態」**を見ます。この違いが重要です。
精液所見が良好でも、頸管粘液との相性が悪ければ精子は先へ進めません。逆に精液所見が今ひとつでも、体内では十分に機能していることもあります。
いつ行うのか
排卵直前に行います。この時期は、エストロゲンの作用で頸管粘液が増え、透明でよく伸びる状態になります。精子がもっとも通過しやすい環境です。
超音波で卵胞の大きさを確認し、「明日の朝に性交して、午前中に来院してください」といった形で指示されます。
- 性交から来院までは9〜12時間以内が一般的(施設により2〜12時間と幅があります)
- 検査当日は入浴・シャワーは可能ですが、腟内の洗浄は避けてください
検査の流れ
来院後、内診台で頸管粘液を少量採取し、顕微鏡で観察します。
見るのは次の2点です。
- 精子の数:1視野あたり何個いるか
- 運動している精子の割合:直進運動をしているか
痛みはほとんどなく、数分で終わります。
結果の見方
判定基準は施設によって異なりますが、おおむね次のように評価されます。
| 判定 | 目安 |
|---|---|
| 良好 | 1視野に運動精子が10個以上 |
| 境界 | 1視野に運動精子が5〜9個 |
| 不良 | 1視野に運動精子が5個未満 |
| きわめて不良 | 運動精子がまったく見られない |
結果が不良だった場合に考えられること
①タイミングのずれ
もっとも多い原因です。排卵にはまだ早く、頸管粘液が十分に分泌されていなかった、あるいは排卵が終わっていた——という場合です。
1回の結果で判断せず、周期を変えて再検査するのが基本です。
②頸管粘液の分泌不足
エストロゲンの作用が不十分だったり、過去の子宮頸部の手術(円錐切除など)の影響で粘液が少ないことがあります。この場合は人工授精が有効です。
なお、クロミフェンには頸管粘液を減らす作用があります。排卵誘発薬を使っている周期で結果が不良になることは珍しくありません。
③精液所見の問題
精子の数や運動率が不足していれば、当然頸管粘液中の精子も少なくなります。精液検査の結果とあわせて評価します。
④抗精子抗体
女性の体内に抗精子抗体があると、精子は頸管粘液のなかで動きを止められたり、その場で震えるような動き(ふるえ運動)を示したりします。
繰り返し結果が不良で、精液所見に問題がない場合は、抗精子抗体検査へ進みます。
⑤性交がうまくいっていない
腟内に射精できていない場合も結果は不良になります。言い出しにくいことですが、重要な情報です。正直に伝えてください。
この検査の限界
フーナーテストには、いくつかの限界が指摘されています。
- 判定基準が統一されていない:施設によって基準が異なります
- 再現性が低い:同じ人でも周期によって結果が変わります
- 予後予測能が高くない:結果が不良でも自然妊娠する方がいます
こうした理由から、この検査を行わない施設も増えています。一方で、負担がほとんどなく、体内での精子の挙動がわかるという点は他の検査にない利点です。
「1回の結果で落ち込まない」「良好でも過信しない」——この姿勢で受けるのが適切です。
結果が不良だったときの対応
- 周期を変えて再検査する
- 精液検査の結果を確認する
- 繰り返し不良なら抗精子抗体検査を行う
- 頸管因子が疑われれば人工授精へ
人工授精は、精子を洗浄・濃縮して子宮内に直接注入するため、頸管の通過というステップ自体を省略できます。頸管因子に対しては非常に合理的な治療です。
よくある質問
Q. 指定された日に性交できませんでした。
A. よくあることです。遠慮なく施設に連絡し、次の周期に変更してください。無理をする必要はありません。
Q. コンドームなしの性交に抵抗があります。
A. 検査の性質上、避妊具は使用できません。抵抗がある場合は、その旨を医師に伝えれば、フーナーテストを省略して他の検査を優先することも可能です。
Q. 良好でも妊娠しないのはなぜですか?
A. フーナーテストは精子が頸管を通過できるかを見る検査です。卵管の通過性、受精、着床といった他のステップは評価できません。
まとめ
- フーナーテストは、体内での精子の挙動を確認できる数少ない検査です
- 排卵直前に実施し、頸管粘液中の運動精子を数えます
- 不良の原因で多いのはタイミングのずれ。1回で判断しません
- 繰り返し不良なら抗精子抗体を疑い、人工授精を検討します
結果に一喜一憂せず、次の検査への手がかりとして受け止めてください。
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ご利用にあたって
本記事は、不妊治療について一般的な情報をお伝えすることを目的として作成しています。記載している検査・治療の内容や数値は、あくまで一般的な目安です。適応や治療方針は一人ひとりの状態によって異なり、医療機関ごとに方針が異なる場合もあります。実際の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。
また、法制度や公的支援の内容は改定されることがあります。手続きの際は、必ず厚生労働省・お住まいの自治体・各医療機関の最新の公表情報をご確認ください。