ホルモン検査でわかること|FSH・LH・E2・PRLの基準値と意味

ホルモン検査でわかること|FSH・LH・E2・PRLの基準値と意味

不妊検査では、月経周期のさまざまな時期に採血を行います。しかし「ホルモンを調べます」とだけ説明され、結果の意味がわからないまま次の周期に進んでしまうことも少なくありません。

ホルモン検査は、どの項目を、いつ測ったかによって意味が変わります。この記事では、主要な項目の基準値と読み方を整理します。

月経3日目前後に測る項目

月経開始から2〜5日目は、ホルモンがもっとも安定している時期です。この時期の値を「基礎値」と呼びます。

FSH(卵胞刺激ホルモン)

下垂体から分泌され、卵胞を育てる指令を出すホルモンです。

  • 基準値の目安:3〜10 mIU/mL
  • 高値(10以上):卵巣が反応しにくくなり、脳が強く指令を出している状態。卵巣予備能の低下を示唆します
  • 低値:視床下部・下垂体の機能低下の可能性

FSHが15を超えると卵巣機能の低下が明らかで、25以上では排卵誘発への反応が乏しくなる傾向があります。ただしFSHは周期によって変動するため、1回の値で決めつけません。

LH(黄体形成ホルモン)

排卵の引き金となるホルモンです。

  • 基準値の目安:2〜10 mIU/mL
  • LH>FSH:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向
  • 低値:視床下部性の排卵障害の可能性

月経初期にLHがFSHを上回っている場合、PCOSを疑う手がかりになります。

E2(エストラジオール)

卵胞から分泌されるエストロゲンの主成分です。

  • 月経初期の基準値:25〜50 pg/mL程度
  • 高値:前周期の遺残卵胞、あるいは卵巣機能低下でFSHが上昇し卵胞が早く育っている可能性

月経初期にE2が高いと、FSHが見かけ上低く出ることがあります。FSHとE2はセットで解釈する必要があります。

プロラクチン(PRL)

本来は授乳期に分泌されるホルモンで、高値では排卵が抑制されます。

  • 基準値の目安:15 ng/mL以下
  • 高値:高プロラクチン血症。排卵障害や黄体機能不全の原因になります

ストレスや採血の緊張でも上昇するため、高値であれば再検査や負荷試験を行います。胃薬や向精神薬が原因になることもあるので、服薬状況を必ず伝えてください。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)

卵巣に残っている卵胞の数の目安です。周期を問わず測定できます。数の指標であり、質の指標ではない点に注意してください。

テストステロン

男性ホルモンです。PCOSでは高値になることがあります。

排卵期に測る項目

E2

主席卵胞が成熟するにつれてE2は上昇します。目安として、成熟卵胞1個あたりE2が200〜300 pg/mL程度とされ、卵胞の大きさとあわせて排卵の時期を予測します。

LH

LHサージを捉えることで、排卵日を予測します。サージ開始から約36時間後(24〜48時間の幅)に排卵が起こります。

高温期中期に測る項目

排卵の約7日後に測定します。

プロゲステロン(P4)

黄体から分泌され、子宮内膜を着床に適した状態に整えます。

  • 10 ng/mL以上:排卵があり、黄体機能が保たれていると判断
  • 5 ng/mL未満:排卵していない、または黄体機能不全の可能性

ただしP4は日内変動・拍動性分泌が大きく、1回の測定だけで黄体機能不全と診断することはできません。

甲状腺関連の項目

甲状腺ホルモンの異常は、排卵障害や流産と関連します。

  • TSH:不妊治療中は2.5μIU/mL以下を目標とする考え方が広く用いられています
  • FT4:甲状腺ホルモンそのものの値
  • 抗甲状腺抗体(TPOAb、TgAb):橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患の指標

TSHが軽度高値(潜在性甲状腺機能低下症)の場合、少量の甲状腺ホルモン補充を行うことがあります。

結果を読むときの3つの注意点

①測定時期を必ず確認する

同じ項目でも、測る時期が違えば意味がまったく変わります。「前回と数値が違う」のは当然のことです。

②1回の値で決めつけない

FSH、LH、プロラクチン、プロゲステロンはいずれも変動が大きい項目です。重要な判断をする場合は再検査します。

③基準値は施設によって異なる

測定方法によって基準値が変わります。他院の結果と比較するときは注意が必要です。

よくある質問

Q. FSHが高いと言われました。治療できませんか?
A. 治療は可能です。ただし卵巣が薬に反応しにくいため、刺激法の工夫が必要になります。周期によってFSHが下がることもあり、そのタイミングを狙う方法もあります。

Q. ホルモン値は改善しますか?
A. プロラクチンや甲状腺は薬で改善します。一方、FSHやAMHで示される卵巣予備能そのものを回復させる方法はありません。

Q. 採血のたびに費用がかかりますか?
A. 治療周期中のホルモン検査は保険適用となるものが多く、1回あたり数百円〜数千円程度です。

まとめ

  • FSH・LH・E2・AMHは月経3日目前後、P4は高温期中期に測ります
  • FSHとE2はセットで解釈します
  • プロラクチンと甲状腺は治療で改善できる項目です
  • 変動の大きい項目は1回の値で判断しません

数値の意味がわかると、治療方針の説明も理解しやすくなります。

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ご利用にあたって

本記事は、不妊治療について一般的な情報をお伝えすることを目的として作成しています。記載している検査・治療の内容や数値は、あくまで一般的な目安です。適応や治療方針は一人ひとりの状態によって異なり、医療機関ごとに方針が異なる場合もあります。実際の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。

また、法制度や公的支援の内容は改定されることがあります。手続きの際は、必ず厚生労働省・お住まいの自治体・各医療機関の最新の公表情報をご確認ください。

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