不妊症とは?定義・原因・受診のタイミングをわかりやすく解説

不妊症とは?定義・原因・受診のタイミングをわかりやすく解説

「そろそろ子どもがほしいと思って半年。友人は自然に授かったのに、どうして自分たちだけ」——そんな思いを抱えて検索している方に、まず知っていただきたいことがあります。不妊は特別なことではなく、そして「待っていれば解決する」とは限らないものだということです。

この記事では、不妊症の医学的な定義、原因の内訳、そして受診を考えるタイミングを整理します。

不妊症の定義は「1年」が目安

日本産科婦人科学会は不妊症を、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交しているにもかかわらず、一定期間妊娠に至らない状態と定義しています。この「一定期間」は、かつて日本では2年とされていましたが、2015年に1年へと改められました。

期間が短縮された背景には、晩婚化と出産年齢の上昇があります。2年待ってから受診すると、その間に妊娠しやすい時期が過ぎてしまう。それを避けるための変更でした。

なお、この1年はあくまで目安です。あとで述べるように、年齢や既往によっては1年を待たずに受診したほうがよい場合があります。

不妊は珍しいことではありません

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2021年)では、不妊を心配したことがある夫婦は約2.6組に1組(39.2%)、実際に検査や治療を受けたことがある夫婦は約4.4組に1組(22.7%)にのぼります。体外受精で生まれる子どもは、いまや日本の出生数の1割を超え、2023年には約12人に1人となっています。

※出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)、日本産科婦人科学会 ARTデータブック(2023年)

つまり不妊治療は、ごく一部の人が受ける特殊な医療ではなく、多くの夫婦が通る道になっています。

不妊の原因はどこにあるのか

不妊の原因は、女性側だけにあるわけではありません。WHOの調査では、おおよそ次のような内訳が示されています。

原因の所在 割合の目安
女性側のみ 約41%
男性側のみ 約24%
男女双方 約24%
原因不明 約11%

男性側が関与しているケースは約半数にのぼります。「まず妻が婦人科へ」という進め方が一般的ですが、精液検査は負担が小さく結果も早く出るため、早い段階で二人そろって調べることをおすすめします。

女性側の主な原因

  • 排卵因子:多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、早発卵巣不全など
  • 卵管因子:クラミジア感染や子宮内膜症による卵管の閉塞・癒着
  • 子宮因子:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、慢性子宮内膜炎など
  • 頸管・免疫因子:頸管粘液の不足、抗精子抗体

男性側の主な原因

  • 造精機能障害:精子がつくられにくい状態。男性不妊の8割以上を占め、精索静脈瘤が代表的な原因です
  • 精路通過障害:精子の通り道がふさがっている状態
  • 性機能障害:勃起障害、射精障害

見落とされがちな最大の要因は「年齢」

検査で明確な異常が見つからなくても、年齢そのものが妊娠しにくさに直結します。卵子は生まれる前につくられたものが年齢とともに減り続け、同時に染色体異常の割合が増えていきます。

これは治療で若返らせることができない要素です。だからこそ、受診を先延ばしにしないことが、どんな治療法の選択よりも効果的な打ち手になります。

1年を待たずに受診したほうがよいケース

次に当てはまる場合は、期間にかかわらず早めの受診をおすすめします。

  • 35歳以上:半年で妊娠しなければ受診を
  • 40歳以上:妊娠を希望した時点で受診を
  • 月経周期が極端に不規則、または3か月以上月経がない
  • 月経痛が 年々強くなっている(子宮内膜症の可能性)
  • 過去にクラミジア感染を指摘された
  • 骨盤内の手術、虫垂炎の手術を受けたことがある
  • 性交がうまくいかない、回数が確保できない
  • パートナーに精巣の手術歴・おたふくかぜ後の腫れの既往がある

最初の受診では何をするのか

初診では問診と内診、超音波検査が中心です。その後、月経周期に合わせて血液検査(ホルモン値・AMH)、子宮卵管造影検査、精液検査などを進め、基本検査が一通り終わるまでには1〜2か月かかるのが一般的です。

「検査だけ受けてみたい」という相談も歓迎されます。治療を始めるかどうかは、結果を見てから決めれば十分です。

よくある質問

Q. 生理が順調にきていれば不妊ではありませんか?
A. いいえ。月経が規則的でも排卵していないことがありますし、卵管や男性側に原因があれば妊娠は成立しません。周期の正常さだけで安心はできません。

Q. 一度妊娠・出産したことがあれば不妊ではありませんか?
A. 出産経験があっても、その後妊娠しにくくなることがあります。これを続発性不妊といい、決して珍しくありません。

Q. 検査は痛いですか?
A. 子宮卵管造影検査では痛みを感じる方がいますが、多くの検査は採血と超音波で、負担は大きくありません。痛みが心配な場合は事前に相談すれば鎮痛薬などで対応してもらえます。

まとめ

  • 不妊症の定義は「避妊せず1年以上妊娠しない状態」。ただし年齢や既往によっては1年を待つ必要はありません
  • 原因の約半数に男性側が関与しています。検査は二人で受けましょう
  • 年齢は治療で取り戻せない要素です。迷っている時間そのものがコストになります

不安なまま検索を続けるより、一度検査を受けて現在地を知るほうが、結果的に選択肢は広がります。

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ご利用にあたって

本記事は、不妊治療について一般的な情報をお伝えすることを目的として作成しています。記載している検査・治療の内容や数値は、あくまで一般的な目安です。適応や治療方針は一人ひとりの状態によって異なり、医療機関ごとに方針が異なる場合もあります。実際の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。

また、法制度や公的支援の内容は改定されることがあります。手続きの際は、必ず厚生労働省・お住まいの自治体・各医療機関の最新の公表情報をご確認ください。

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