「生理はきているから大丈夫」——不妊を心配しながらも、そう考えて受診を先延ばしにしている方は少なくありません。
しかし月経の周期は、排卵の状態を映す重要なサインです。周期の長さや規則性から、排卵が起きているか、ホルモンのバランスはどうかをある程度推測できます。この記事では、月経周期から読み取れることを整理します。
正常な月経周期の範囲
日本産科婦人科学会は、正常な月経周期を25〜38日と定義しています。この範囲を外れる場合、次のように呼ばれます。
| 状態 | 周期の長さ | 考えられること |
|---|---|---|
| 頻発月経 | 24日以内 | 卵胞期の短縮、黄体機能不全、無排卵 |
| 正常 | 25〜38日 | — |
| 稀発月経 | 39日〜3か月未満 | 卵胞の発育が遅い、PCOSなど |
| 無月経 | 3か月以上停止 | 排卵障害、視床下部性、早発卵巣不全など |
また、周期の変動が6日以上ある場合も不整周期とされます。毎月30日と38日を行き来しているようなケースです。
周期が長い場合に考えられること
周期が長いのは、多くの場合卵胞が育つのに時間がかかっているためです。排卵後から月経までの期間(黄体期)は約14日でほぼ一定なので、周期の長さの違いは主に排卵までの日数の違いに由来します。
代表的な原因は次の通りです。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):もっとも頻度が高い排卵障害。卵胞が途中まで育っては止まる状態を繰り返します
- 視床下部性の排卵障害:急激な体重減少、過度な運動、強いストレスが引き金になります
- 高プロラクチン血症:乳汁分泌ホルモンが排卵を抑えます。薬剤性のこともあります
- 甲状腺機能異常:甲状腺ホルモンの過不足が月経周期に影響します
周期が長いこと自体は、妊娠できないことを意味しません。ただし排卵の回数が単純に少なくなるため、同じ1年でもチャンスの数が減ります。
周期が短い場合に考えられること
24日以内の頻発月経では、次の可能性があります。
- 無排卵周期症:排卵がないまま子宮内膜が剥がれている状態。基礎体温が二相性にならないのが特徴です
- 卵胞期の短縮:卵巣予備能の低下に伴い、FSHが高くなって卵胞が早く育つ状態。40歳前後で周期が短くなってきた場合はこれを疑います
- 黄体機能不全:高温期が10日未満と短い状態
とくに、もともと30日周期だった人が25日前後に短くなってきた場合は、卵巣予備能の変化を示している可能性があります。「短くなって順調になった」と受け取らないよう注意が必要です。
月経があっても排卵しているとは限らない
重要な点として、月経のような出血があっても排卵しているとは限りません。排卵を伴わずに子宮内膜が剥がれる無排卵周期症では、一見月経のように見える出血が起こります。
見分けるポイントは次の通りです。
- 基礎体温が二相性にならない(高温期がない)
- 出血がだらだら続く、または極端に少ない
- 周期がばらばらで予測できない
確実に判断するには、超音波検査で卵胞の発育と排卵後の変化を確認するか、高温期中期のプロゲステロンを測定します。
経血量や月経痛からわかること
周期以外にも、月経の性状にはサインが含まれています。
- 月経痛が年々強くなっている:子宮内膜症の可能性。不妊の原因になります
- レバーのような塊が多い、経血量が多い:子宮筋腫、子宮腺筋症の可能性
- 経血量が極端に少ない:子宮内膜が薄い、無排卵、子宮内腔の癒着の可能性
- 不正出血がある:子宮内膜ポリープ、頸管ポリープなどの可能性
鎮痛薬が手放せないほどの月経痛は「体質」ではなく、治療対象になりうる症状です。
受診の目安
次に当てはまる場合は、妊娠を希望しているかどうかにかかわらず一度受診をおすすめします。
- 周期が24日以内、または39日以上
- 周期の変動が6日以上ある
- 3か月以上月経がない
- 基礎体温が二相性にならない
- 月経痛が年々強くなっている
- 乳汁が出る
生理不順は治療できます
排卵障害の多くは治療可能です。排卵誘発薬の内服から始め、効果が不十分であれば注射薬を使います。高プロラクチン血症や甲状腺機能異常が原因であれば、その治療で周期が整うこともあります。
大切なのは、原因を特定してから対処することです。周期を整えるだけならピルでも可能ですが、それは妊娠を目指す治療ではありません。
よくある質問
Q. ピルを飲んでいた影響で生理不順になりますか?
A. 服用中止後、一時的に周期が乱れることはありますが、通常は数か月で戻ります。3か月以上月経が来ない場合は受診してください。
Q. ストレスで生理が遅れることはありますか?
A. あります。視床下部は精神的な影響を受けやすく、強いストレスや環境変化で排卵が遅れたり止まったりします。ただし繰り返す場合は他の原因の検索も必要です。
まとめ
- 正常な月経周期は25〜38日。この範囲を外れる場合は排卵の状態を確認しましょう
- 月経があっても排卵しているとは限りません
- 周期が短くなってきた場合は卵巣予備能の変化を疑います
- 排卵障害の多くは治療可能です
月経は、体からの定期的なレポートです。読み方を知っておくと、変化に早く気づけます。
次の一歩に迷ったら
治療を続けるなかで、「このまま同じ方法を続けていいのだろうか」と迷う時期は誰にでも訪れます。Sazukaruでは、一般的な不妊治療で結果が出なかった方に向けて、卵子提供プログラム・代理母出産プログラムという選択肢をご案内しています。
まずは情報を集めるところからで構いません。無料相談はオンラインで受け付けており、2〜4営業日以内にご返信いたします。
ご利用にあたって
本記事は、不妊治療について一般的な情報をお伝えすることを目的として作成しています。記載している検査・治療の内容や数値は、あくまで一般的な目安です。適応や治療方針は一人ひとりの状態によって異なり、医療機関ごとに方針が異なる場合もあります。実際の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。
また、法制度や公的支援の内容は改定されることがあります。手続きの際は、必ず厚生労働省・お住まいの自治体・各医療機関の最新の公表情報をご確認ください。